ご相談の背景・経緯
個人開業で売上が安定し、今後の設備投資や所得分散を見据えて法人化による節税を検討されていました。まず、全体のスケジュールと必要書類を提示し、申請方針を固めていく中で、診療所の賃貸借契約に「事務所登記不可」の条項があることが判明。診療の実態は変えず、別物件を本店とする計画に切り替えました。所轄庁へ事前相談を実施し、最適な申請スキームと必要な添付資料をすり合わせ。並行して、不動産業者とは賃貸借の名義変更の可否・手順を、銀行とは既存借入の引継ぎ条件を個別に調整。結果、登記要件と現場運営の両立が可能な見通しを明確化し、申請に進む判断が一致しました。
専門家のポイント解説
医療法人化は「様式に沿って出せば通る」手続ではありません。今回の要点は、①診療所物件に登記制限がある状況で、どのように本店配置を組み替えるか、②所轄庁・物件側・金融機関という関係者の動きを同じ時間軸に載せるか、の2点でした。まず登記については、診療の現場は変えず、管理機能を置くための別物件を本店とする設計に変更。所轄庁には事前相談で論点を整理し、申請の類型、添付の範囲、名称や表記の取り扱いなど、審査で問われやすいポイントを先出ししました。これにより、必要な準備物が早期に確定し、手戻りを最小化できました。
物件面では、契約の禁止条項に抵触しない手順と書面セットをわかりやすく提示しました。具体的には、名義に関わる条項の読み合わせ、承諾取得までの段取り、提出すべき資料の粒度を1枚のフローに落とし込み、関係者間の解釈のズレをなくしています。金融面では、既存借入の取り扱いに関する確認事項を時系列で整理し、誰がいつ何を確認するかを「手続き手順表」に明記。担当者交代があっても止まらないよう、窓口情報や連絡履歴を共有台帳で可視化しました。
税務・労務については、制度上できること/できないことを先に線引きし、運用負荷が高くならない範囲での設計を提案しました。提出・届出の年次イベントはカレンダー化し、締切前の準備ポイントをアラート化。個人開業から法人へと業務が切り替わる移行期に現場が混乱しないよう、関係先との連絡順序とタイミングを定めた運用ルールを整えました。
全体の進め方は、所轄庁の審査リズムを起点に逆算。最初に論点の棚卸し→物件・金融の主要確認→申請書式の確定→提出、という順にボトルネックを先に解消しました。途中で条件が動いた場合に備え、スケジュールの吸収余地と連絡体制をはじめから設計し、意思決定を止めない運びを徹底。結果として、登記要件、物件側の承諾、金融手続、日々の運営という複数の歯車が無理なくかみ合う形に整い、申請から認可までを滞りなく進めることができました。
お客様の声
法人化は初めてで不安が大きかったのですが、最初に全体の流れと必要書類を整理してもらえたことで、見通しが立ちました。診療所の賃貸契約に登記制限があるとわかった時は正直焦りましたが、別の事務所物件を本店にする提案と、所轄庁・不動産・銀行への説明や調整を一つずつ進めてもらい、迷う場面がありませんでした。
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クリニックの事情に合わせて現実的な選択肢を提示いただき、判断材料が常に明確でした。説明は専門的でありながらわかりやすく、連絡への反応も早かったため、手続きの節目ごとに安心して進められました。
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もし自分たちだけで進めていたら、契約条項の読み落としや関係先との連絡漏れで、申請が遅れたり条件が不利になっていたと思います。今回、段取りと確認ポイントが整理され、関係者の合意形成もスムーズでした。医療法人化を検討している先生には、早い段階から相談することを強くおすすめします。進め方そのものが信頼できました。